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手打そばってふしぎな話しと、女将のバンズ  旧ブログより  [こころのなかの、こんくらい]



手打そばって、ふしぎだなぁ。

なんてべたな題名だ。

でもほんとうにそうなんだ。



同じ蕎麦粉、水、手順、道具で打っても、
打つ人によって味が変わる。

「その人」の個性が出る。

たぶん、人生の根っこのあたりのところが
ほわっと出てくるようなかんじかな。

これだけは教えるものでもなく、教えられるものでもない。

ちょうど、友だちの志美津やさんの手打蕎麦教室に、
うちのお客様でもあり,女将の命の恩人の一人でもあるYさんが通っている。

あれほどたくさん蕎麦を打つ志美津やさんが同じことを言っていた。

「加東さん、不思議だよね,ウチに今生徒さんが二人来てるんだけど、
ぼくも入れて三人、みんな味が違うのよ」

ほんとうにそう思う。

ぼくが出張の手打蕎麦をやっていたとき、
多いと3人のアシスタントがいた。
やはり四者四様だった。

ぼくは、そのふしぎさは
水回しが一番味に関係しているような気がする。

蕎麦粉への加水率。
そしてまとめるまでの時間。

蕎麦打ちで一番「感覚」を要求する気がする。

子どもの時に砂遊びをしていたときの感覚に似ている。

砂に水を足してゆくと、お団子ができたり、
それを過ぎるとどろどろになり、
もっと過ぎるとただの泥水になる。

おもしろがっていると、

「こんくらい」

と、だんだん自分好みの団子ができるようになる。

二八で打つ場合はそれほどの差はでないが、
十割蕎麦、しかも粗碾きだと加水量はかなりばらつく。

固めでまとめる人もいれば、柔らかい人もいる。

みんなが「こんくらい」というポイントを持っている。

そしてそのどちらが、良い悪い、ではなく個性につながる。

おもしろい。

今話しているのは「水回し」だけの話しだから、
加水するときの水そのものの話し、温度湿度、
延しのスピード、麺体の厚み、
包丁の入れ方、麺体の太さ、
その前段階の「製粉」の話しまでいれると、
その組み合わせはほとんど天文学的なことになる。

だからそばを打っていると、興味は尽きない。

なんて、そば屋みたいなブログを書いてしまった。

はっ。

そうだった、ぼくはそば屋なのだ。

でも唐突に。

女将が焼いた、今日の天然酵母バンズ

バンズ.jpg



明日はこれでハンバーガーにしよう。

2010-06-25 18:28