パパネック [デザイン]
パパネック、ご存知ですか?
書名の
「生きのびるためのデザイン」
は、当時のぼくには違和感があった。
原題は
『DESIGN FOR THE REAL WORLD」
だからだ。
ぼくの拙い和訳だと、
「真の世界のためのデザイン」
となる。
「生きのびる」
なにか当時は切羽詰まりすぎていて、
違和感を覚えた。
でも、現代を生きるぼくにとって、
いまはこれ以上ぴったりくる題名もない。
それほど世の中は変化した。
ぼくはこの本に、たいへん勇気づけられた。
この本の支えがあったからこそ、
大気汚染・環境問題がクローズアップされてきても、
なんとか工業デザインをやっていられた。
心の支えといってもよかった。
訳者前書きには、こうある。
「いまやデザイナーは危険な人種となった。
マス・プロダクションのなかで、
人目をひく<刺激的>なデザインがまかり通り、
不必要なだけでなく有害な製品が地球を汚し続けている。
(中略)
第三世界の人々、病人、老人、身体障害者に向けてなされる
アプローチの正確さと独創性には目を見張らされる。
空き缶を利用したラジオから、手で組み立てられるテレビ、
人力で動く車、荒れ地に効果的に種を播くための道具など、
つねにそれを使う人間とそれが使われる環境とを考えながら、
かつてなかった<生態学的デザイン>への道を切り拓く」
久しぶりにページを開いてみて、
パパネック氏の先を見通す力に平伏すばかりだ。
きょうはぼくは、これ以上書けません。
もしご興味があれば、ご一読ください。
ちなみに、物資がない国々の人々のためにデザインされた、
空き缶を利用したラジオとは、これです。
廃棄されたナンバープレートでデザインされた調理器具。
人力車のデザイン。
2010-07-09 15:33