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いくらなんでも、そろそろ黒森庵再開の話し、など。 [黒森庵]

なかなかぼくが黒森庵再開について書かないことについて、

あれぇ、

などと疑問を持っておられる方もいると思います。



「女将、女将」って、元気そうじゃないか。

店主は自転車ばかり、乗って。

峠に行っちゃって。

休み慣れしちゃったんじゃないの?

つぶれちゃった?




はい、女将は元気です、

といっても、元気途中、といったほうが正確です。



はい、自転車は大好きですし、

そば打ち・製粉作業での腰痛対策には、ほんとうによく効きます。



はい、休んでいると、

店のこと以外のことがいろいろできます。

ブログも、毎日更新できます。



でも。


店の再開は、もちろん、したいです。


いま、その機会をうかがっているところなのです。



女将が発病して、10ヶ月経ちました。

おかげさまで、女将はたぶん、

危ない時期を乗り越えたのではないか、と感じています。


現状、とても安定しているので、だいじょうぶ、と思っています。


しかし、けっして安心できるたぐいの病でないことは事実です。



去年の10月中旬に緊急入院したときは、

「あと数日入院が遅れたら、あと10日くらい(の寿命)だったかもしれません」

といわれた病気です。




今日は女将の承諾を得て、病名をお知らせすることにしました。




女将は悪性脳腫瘍で神経膠芽腫といい、グレードはⅣです。


脳腫瘍の中でも治癒が難しいとされている病気です。



グレードは完全治癒の可能性が高いほうからⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳとなってゆきますから、

一般的にいうと、非常に厳しいステージということになります。




しかし、女将の場合は、病院のチームみなさまのおかげで、

まず、手術が大成功をしました。



次に、放射線治療が行われましたが、これも成功しました。



この最初の二つの治療のおかげで、

術後の再発が今日にいたるまで、まったくありません。




そして、幸いなことがもう一つあります。



それは、テモダールという、

とくに女将の病気に対して効果がある新しい抗がん剤治療が、

2006年に認可されたということです。

18年ぶりの、待ちに待っていたともいわれる新薬の療法が、

満を持した形で受けられるということです。


そしてこのテモダールによる自宅治療が、

女将にはきわめてうまくいっています。



主治医の先生曰く、

「あなたは、この治療のために生まれてきたような方ですね」

と冗談が出るほどです。



つまりそれは通常、テモダールの副作用が少なからず出るらしいのですが、

女将の場合は、ほとんどまったくといってよいほど、でません(吐き気、食欲減退など)。



よって、その薬効が完全にとりこめる。

よって、月一の治療が滞ることなく進められる。



それでも、自宅で行うテモダールの治療には、

細心の注意を払っています。

5日間という期間、朝6時半からの服用開始で、それを忘れてはならないからです。

規則的に、定期的に服用しなければなりません。



なので、「安全回路」として、

ぼくは毎日、彼女と一緒に起きて服用を確認しています。



そして、今まではだいじょうぶだけど、

これからもだいじょうぶ、という完全な保証はありませんので、

万が一、服用後などに変化があった時に備えて、

いつもぼくなり、家族のだれかが見守っている必要があります。




ほんとうに幸いなことですが、これらすべてのことが、

退院後、極めて順調に推移しています。



このブログでも、何回も紹介していますが、

女将はパンを焼くこと、料理を作ること、

そしてなんといっても、

本人曰く、「食べることが取り柄」の人間なのです。



そうした内なる彼女のエネルギーが、

薬による副作用を完全に凌駕しているようです。



前述の主治医の先生曰く


「取り柄、ありまくりです。すばらしい」


と笑っておっしゃってくださったくらいです。

(そこらへんのことは、こちらをごらんください)



ただ、ひとつ。

これもブログには書きましたが、

失行といって、手術後に手足などに若干の動きの不自由さが残っています。


しかしこれも、毎日のパン焼き、料理、散歩などのリハビリで、

ずいぶんと改善が見られています。



さいわい、思考・言語の不自由さはまったくありません。

手術前のからの、今まで通りの、

音楽好きで、食べることと料理が大好きな、

ほんわかした、おっとりした、愛おしい女将です。
(元々おっとりとしたところがありますが、これは病気のせいではありません)




こうしたことを、毎日注意して見続けてきて、やっと、

これなら、黒森庵の再開に向けた準備ができるかな、

というところまでこぎ着けました。




「奇跡」などという言葉は軽々に使えませんが、

10ヶ月前を思い出すと、それでも、

これは奇跡的としか言いようがありません。




今日は、今回のテモダールの自宅治療(8クール目)3日目です。

あと2日の経過を見て、

そしてその後に体調不良などが出なければ、

再開に向けた動きが始められるかと思います。





よく考えてみると、人は、いつ死ぬかはわかりません。


女将より先に、ぼくが自動車ではねられて死んでしまうことだって、

可能性としては常にあります。



この状況でわかったことが一つあります。



暗くなろうと思えば、いくらでも暗くなれます。


でも、明るく生きようと思えば、それも、やればできる。


どちらで生きても、一日は、一日。


ぼくたちの場合は、後者です。


毎日を充実して生きよう。




そういった雰囲気も含めて、

同じ病気で悩み苦労している方々、

あるいは同じではなくても、つらい立場におられる方々に、

少しでもお役に立てればと思い、女将の病名そしてステージを明らかにしました。




今は、困難な病気に立ち向かっている女将の完全治癒を、

家族全員で見守り、サポートする、

これをまず、中心に置きながらの準備ということですので、

みなさんにはご心配と、ご不便をおかけしておりますが、

どうかご理解をいただければと思います。




今のところ、9月の下旬を目指しております。

あるいは、10月の声を聞いてしまうかもしれませんが、

これからも順次、再開の具合などを店の前の張り紙、

あるいはブログでアップしてゆきますので、

お手数ではございますが、時折のぞいていただければ助かります。


またTwitterでは、随時ブログ・アップの情報をつぶやいておりますので、

そちらのほうもごらんいただけると助かります。


なにとぞ、今後ともよろしくお願い申し上げます。




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昨日女将が焼いたパンです。

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今日女将が焼いたパンです。


自宅治療中ですが、両日ともパンを焼きました。

それだけ調子が良い、ということですね。