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柏木圭さん [デザイン]




マルセル・デュシャン、柳宗悦をこよなく愛する柏木さんは、

木工作家だが、そこに収まる人ではない。


芸術、哲学、心理学、自然科学、農、食、整体、等々、

彼の生きることへの興味は尽きることがない。



サザビー家具部門の中古家具修復&新作家具作りをしたのち、独立。

たぶん、独立してほどなくして、知り合ったんじゃないかと思う。



20ん年前のことだったか。



そのころに、ぼくは彼にそば打ち台を作っていただいた。

それは今でも、黒森庵の打場で、バリバリの現役として働いてくれている。

今でも台を搬入してくれた日のことを、鮮明に覚えている。


なんとすばらしい技術なのだ。

なんと美しい作品なのだ。


それを正直に伝えると、子供のようにはにかんだ顔で、

「ああ、よかった」

と答えてくださった。


彼は、そのすぐあと東京を離れ、

長野県大町美麻村にある「遊学舎」に工房を構えた。


ぼくは当時、出張の蕎麦打として忙しかったし、

彼は新天地で活躍、

自然とお互いの行き来が遠くなった。


いま、黒森庵の再開の準備をしていて、

そば打ち台を見ては

「柏木さん、どうしていらっしゃるのか」

と思っていた。



その彼となんと、Twitterで再会した。


これだから、世の中は面白い。

毎年、この時期にぼくはそば生産者さんを巡る。


いつもだと家族旅行となるのだが、今年は女将のことがある。

長距離の旅行は現状では難しいので、ぼく単独での行動になった。


今回は富山への旅。


途中下車して、柏木さんに会おう。


そう思った。



Twitterを駆使して(大げさですね)連絡を取り合い、

こんな看板や、
「ね」でないところが.jpg
「ね」、でなく、「な」というところが、いいなぁ。


こんな急坂を通り、
峠2.jpg
次回は絶対に自転車を積んでこよう。



ついに。

0913柏木工房.jpg
柏木さん工房.jpg
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まさに「工房」だ。

ぼくが、夢に描いているような。


柏木さんに会ったとたんに、時のギャップを飛び越し、

さまざまな話しをお互いに堪能した。



一段落したところで、彼の最近の作品を観せていただいた。



椅子。

0913柏木工房3.jpg

う、美しい。



スピンドルと、砧。

スピンドルと、砧.jpg

ああ、うっとり。

糸を紡ぐ道具(スピンドル)と、布作りの道具(砧)たちですね。



これは、なんでしょう?

100913柏木工房6.jpg



こうやって、作ります。

万力.jpg

じっさいに、その場で、すぐに作ってみせてくれました。
(足で挟む万力も、彼の自作です)



答えは、箸入れと、箸です。

箸と箸箱.jpg

正確には「栗懐中箸入れ」と呼び、

日本民芸館展に入選し、東京では日本民芸館で入手可能です。


彼が自作している南京鉋たち。

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その歯の部分のアップ。
鉋の歯アップ.jpg

仕込む前の豆鉋の歯と、ぼくの人差し指(小さいでしょ?)。
仕込む前の豆鉋の歯.jpg



では、これは?

さてこれは.jpg

馬のしっぽではありません。

「精麻」で作った、はたきです。

なんと美しいのだろう。



柏木さんはシェーカー家具も大好きとのことで、

わかる気がしました。


いま、ぼくは、柏木さんと、あるものを作ろうと、企んでいます。

もし成功したら、お披露目しますので、

楽しみにしていてください。



柏木さん、そして彼の作品にご興味がある方は、柏木圭さんのHPへ、お訪ねください。