2010年9月13日の、そば屋さん、「高遠 ますや」 [そば屋ともだち、そばとも、とも]
そばの生産者さんと会う時期が、今年もやってきた。
今回は2日で長野、富山と回る。
その途中で、そば屋さんにも行きたい。
いつもだと家族全員での旅行なのだが、
今年は女将のことがあるので、ぼく単独行動になった。
中央高速諏訪インターを下り、目指すは「高遠そば ますや」さん。
いつもとちがって、そば屋がそば屋を宣伝しますとも、
と書けない理由がある。
それは、
「ますや」さんの石臼が、不調だからだ。
ご主人のお話では、
インバータという石臼を制御する電子機器が壊れてしまったという。
そのメインの石臼が直るまで、
手碾きと、サブ機の電動石臼で製粉されている。
ご主人曰く、どうも本調子まではゆかないらしい。
ということで、本調子が出たときに再度おうかがいしたい。
こういうことが前提だが、それでもこのようなすばらしいそばをご提供されていた。
高遠そばといって、焼き味噌を、やや薄めの汁で溶きつけ汁を作り、
それでいただく。
そばは「合もり」といって、二種類のそばを味わえるものをお願いした。
薬味は長葱の細切り、辛味おろし。
一枚目のそばは、「玄」
その名のごとく、玄蕎麦をそのまま碾きぐるみで製粉し、
40メッシュのふるいで落とした粉で打ったもの。
やや黒め、★もところどころにあるが、細めで上品な出で立ち。
そばに顔を近づけると、臼の不調など吹っ飛んでゆくような豊かな香り。
一口、二口、となにも付けずに次々と手繰ってしまう。
はっ、と我に返り、本来の高遠そばの食べ方を。
どっぷりと浸けてしまうと、さすがに味は濃いめだが、
そばの先をちょっとつけてたぐると、焼き味噌の香り豊か、
薬味の辛味おろし、葱の風味が合わさり、
東京では味わえない世界が現れる。
つぎにお出しいただいたのが「抜き」という、
玄蕎麦の殻を完全に剥いた丸抜きを、荒碾きし、
20メッシュで落とされた粉で打ったそば。
うっすらと緑がかり、透明感強く、
先の「玄」よりもやや太め。
大きな粒子がこれでもかと入っている。
じつに美しい。
こちらも香り、風味ともに容姿に負けないすばらしさ。
こちらのほうが、より香り強く感じた。
さらに、ここならではのそば粉のクラストのPIZZA。
黒森庵もイタリアンテイストだが、こちらはどういう方向なのだろう。
こうくるか。
そば粉の生地に、葱味噌、鰹節の佃煮、鴨のロースト、チーズ、
そしてなんと、三つ葉。
チーズがあるので、かろうじてPIZZAだが、
口の中はほぼ、和の世界。
とてもおいしく、不思議で、楽しい。
最後に、そば寒天をだしてくださり、フィニッシュ。
よい体験をさせていただいた。
今のままでも、これだけすばらしい。
本調子だったら、どうなるのか。
臼が復調したら、またぜひおうかがいします。
ごちそうさまでした。
「高遠そば ますや」
住所:長野県伊那市高遠町東高遠1071
電話:0265-94-5123
営業時間:11:00〜16:00
火曜定休(1,2月は、火曜水曜)
2010-09-15 20:56