黒いそば、と、白いそば [黒森庵]
そば屋のブログなのに、書く事はいつもそば以外のことばかり。
パンだったり、自転車だったり、デザインだったり。
なので、昨日に続き、
ちょっと今日も、そばについて書いてみようかな、と。
「黒いそばは、白いそばよりそば粉が多く入ってるんだ」
「白いそばは、小麦粉が多い」
と思っておられる方がいらっしゃるかもしれませんが、
今日はこの話しでも。
「黒いそばは、白いそばよりそば粉が多く入ってて、白いそばは小麦粉が多い・・・云々」
これは、そうではありません。
白いそばも、黒いそばも、十割もあれば二八もあります。
じゃ、どーゆーことよ。
こーゆーことです。
玄蕎麦、と呼ばれています(黒いのは「殻」です。枕の材料になりますね)。
さて、では、中身は何色なんでしょう?
こういう色です。
え?
黒くないの?
じゃ、なんで黒っぽいそばがあるの?
ですね。
疑問、ごもっともです。
それは製粉方法によるのです。
むかしは、現在のような製粉技術がありませんでした。
つまり、黒いそば殻を完全に取り去ってしまう方法はありませんでした。
っていわれても、よくわからない・・・。
よし。
玄碾きを、やってみよう!
(玄碾きとは、玄蕎麦つまり殻の付いたままの状態で、石臼にかけてしまう碾き方です)
1)石臼にそばの実を多めに入れる(石臼しかない時代ですから)。
2)そうすると、上臼が少し浮くようになります。
3)そうすると、実はすぐには粉にならず、がりがりと割れてでてきます。
(うちは手碾きの臼がないので、似たような状況を「トム臼」でやりました)
(ほとんど、殻しか見えていません。白いところが「実」の部分です)
4)その割れた実と、殻は、「箕」という道具で分けられます。
このように分離できます。
これ以上は取りきれません。
いや、正確にいうと、もっと分けることはできるのですが、
殻とおなじ重さの実もいっしょに飛んでいってしまうので、
歩留まりがガクッと悪くなるのです。
再度トム臼に入れ、今度はきっちりと粉にします。
打ってみよう!
キタッラで打ってみました。
玄碾きそばをキタッラで、というのは初めてです。
極粗碾きだったので、ちょっと切れやすかったですが、麺体にはなっています。
丸抜きの極粗碾きそばとの比較です(かなり色がちがうのがわかりますね)。
玄碾き・極粗碾きそばアップ
丸抜き・極粗碾きそばアップ
ちなみに、玄碾きも、丸抜きの粗碾きも、どちらもまったくおなじ原材料です。
これでもうお分かりと思いますが、
「黒いそば」とは、
食べられない黒い「殻」の部分が、
製粉段階で取りきれずに、
一緒に粉になってしまった結果です。
しかも「つなぎ」ならぬ、
どうやっても「つながらない」性質の粉ですから、
とうぜん、そばは、切れやすい。
切れやすいから、太く打たなければならない。
それが「田舎そば」として定着したのだと思います。
そういう粉ではありますが、
プリミティヴな製粉方法だけに、
丸抜きのそばとはまた違った風味があるのも確かです。
電気をまったく使わずに製粉できるという、
今の時代にぴったりな製粉方法だともいえます。
さて、でも。
現代は、実と殻とを、完全に分ける技術があることも事実です。
ですから、どのような色のそばでも、
製粉しだい、ということもいえます。
みなさんは、どのようなそばが好きですか?
ぼく?
ん〜、あーいうそばも好きだしなぁ、
こーゆーそばも好きだしなぁ。
「こんくらい」な、そば、
ふぅ、
一生探してるのかな・・・。
2010-09-28 18:46