そば屋が、そば屋の心配を、しますとも [そば屋ともだち、そばとも、とも]
石臼碾き自家製粉の手打そば屋をやると、
いろいろと「職業病」のようなものをかかえるようになる。
第一位は、きっと、腰痛だ。
高齢になってから店を構えた人は、膝痛もあるだろう。
一日中立ち仕事なので、むくみ、それから足がつる、
なんていうこともしばしばだと思う。
それらを職業病だと思って、ぼくもあきらめていた。
でも、今はそのほとんどは無縁だ。
なんで?
休業中だから。
なんて落ちではありません。
ぼくはかれこれ、25年くらい腰痛持ちだった。
父が病気で倒れその看病と、
美大の卒業制作と重なって、
ぎっくり腰には至らないものの、
いつギクッとなってもおかしくないまま日々を過ごした。
工業デザイナー時代は、
今のようにCAD(コンピュータを使った製図ですね)などなかったから、
製図台の前での仕事がほとんどで、
そのときの姿勢は「前屈み」。
工業デザイナーをやめて、八ヶ岳で農の勉強をしていたときは、
鋤(すき)、鍬(くわ)、鎌(かま)、いつも、ほとんど腰を屈めていた。
再び東京に戻って、出張蕎麦打という仕事を立ち上げ、
自家製粉も開始したが、
そば打ちはほとんどいつも前屈み。
製粉の行程も、ほぼいつも前屈み。
ぼくの人生は、常に腰への負担がともなっていた。
一触即発状態で、毎日おびえながら仕事をしていたといっても過言じゃなかった。
ところが。
自転車、それもロードバイクに乗るようになってから、
その腰痛がウソのように、消えた。
ご存知かもしれませんが、
ロードバイクに乗る時はかなり腰から背中が前屈します。
横から見てみよう。
手打そば屋さんなら、皆さん、
「あ、そばを延しているときとおなじフォームだ」
と分るでしょう。
上半身、おんなじじゃん。
そう。
でも筋肉の使い方がまるでちがう。
自転車でも、そば打ちでも、背筋は常に使うから、
乗れば乗るだけ、打てば打つだけ鍛えられていると思います。
問題は、腹筋だ。
そば打ちでは、ほとんど腹筋を使わない。
一方、ロードバイクの場合、前屈のまま、
脚を下ろすだけでなく、
「引き上げる」運動が欠かせない。
もう一度、ロードバイクに乗っているときの、
ぼくの足を見てみてください。
前傾のまま、右足を引き上げるところ、なんです。
このとき、腹筋を使うのです。
ロードバイクで大事なことは、
ペダルを「踏む」だけでなく「引く」、
少なくとも気配を消すくらい「抜く」ことです。
片方の足が踏む力を100%出し切れるように、
反対側の足が「サポート」することになる。
もっといえば、ロードバイクにはビンディングペダルといって、
ペダルとシューズをカッチリと固定してしまう器具がある。
そうすれば、スキーの板と靴との関係と同じ状態で、
完全に「引き足」を使えるようにできる。
もうお分かりだと思いますが、
腰痛になる要因として、背筋と腹筋のバランスの崩れがあります。
これが自転車とくにロードバイクを乗ることによって、
バランスが保たれるようになると、ぼくは感じています。
ただただ自転車で走っているだけでいいのだから、
おすすめです。
つぎに、足のむくみ、足のつり。
これもぼくなりの解決法があります。
おなじく、自転車からヒントを得たもので、
コンプレッションタイツ。
こういうものです。
高機能になるほど、価格も上がるようだが、
ぼくは、数年前にユニクロで2,980円で売っていたものを、
黒森庵を営業中は、ほぼ一年中使用している。
ボディ・テックとか呼ばれていたかと思います。
これを穿く・穿かないでは、一日の疲れがぜんぜん違う。
足のつり、むくみもありません。
穿かないと、つったり、むくんだり、します。
別にタイムを競うのではないので、ぼくはユニクロで満足です。
キーワードは、「コンプレッションタイツ」です。
検索すれば、効果も含めていろいろと出てくると思います。
ロードバイクに乗って、コンプレッション・パンツ。
心身ともにリフレッシュされるし、いいですよ。
以上、加齢、メタボが気になりだした手打そば屋さんへの、
おせっかいな情報でした。
これから寒くなります、
おたがい、気をつけましょう。
お、女将が、今日もパンを焼きました。
レーズン入り。
女将、今日も調子、いい。
2010-10-12 15:27