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君を、想おう。 [卒業]


女将が卒業してから、


もしかしたら彼女のことだから、


なにか向こう側から


「サイン」


でも送ってくれるかなと思ったけど、


今のところ、それはない。



でもね、


そのかわり、


いいことを発見したんだ。

ツール・ド・築地をしていて、感じた。


なんか、それは


ぼくの想像の中だけで起きていることかもしれないけど、


それで、いい。



ぼくが、


新宿御苑の脇の道路を


バイシクルで疾走していたら、


急に、イメージが湧いたんだ。




それは、


イタリアの若者たちが(昔の、ね)

vespa-1.jpg
こうやるように、


横座りして(ぼくのバイシクルには荷台すらないけど)、


ぼくのおなかに手を回し、


ポニーテールの髪を靡かせて、


会心の笑顔で、


「晴之って、こうやって走ってたんだ、すっごい気持ちいいね」


って、


女将が耳元で話してくれた。




それは今まで見たこともないようなすてきな笑顔で、


ぼくはそれを感じて、


ああ、彼女は幸せだと思った。



これはきっと、


ぼくの脳が作り出した


「仮想現実」


なんだけど、


なんかほわんと、あたたかくなった。




目的地についてバイシクルを降り、


てくてく歩くときにも、女将はいっしょにいてくれた。


楽しそうな顔なんだ、


これが、また。




ぼくは、女将と80歳、90歳になっても


手をつないで歩ける夫婦でいたいと願っていた。




それはできなくなっちゃったけど、


いま、こうして


ぼくはいつでも彼女に会えることがわかった。



じつに、いいんだな、これが。


なにがいいって、


肩を組んでいても、


背の高さの違い、


彼女の歩幅とか、


気にしなくていいからね。



だからぜんぜん、


ひょこひょこしないんだよ。



つなぐ手には、今でも彼女のぬくもりがあるし、


耳を澄ませば、いつでも彼女の優しい声が聞こえてくるし、


会話をすれば・・・、


これだけは一方通行なのが玉に傷だけど、


それさえがまんすれば、


ほんとにすばらしい。



ぼくの、こういうことを精神分析的にいえば、


悲しさを紛らわすために脳内でなんたらかんたら、


というかもしれないけど、


それでぜんぜんかまわない。



ツール・ド・築地のあいだじゅう、


女将はぼくと一緒にいてくれた。



ぼくのバイシクルの後ろに乗るのを、


こころから楽しんでくれた。



こんなこと、ファンタジーの中じゃなきゃ、ありえないんだけど、


Kiki_la_petite_sorciere_07jpeg.jpg


ほんとにそう感じたんだ。



よかった。



女将、幸せです、



きっと。




我が家のとんぼ(素です、まんまです).jpg
うちの、とんぼ。



これを聴いて、君を想おう、


女将。



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