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11ヶ月が経ち、今を思う。


ここ数日、


矢島助産院、こどもみらい測定所、


このふたつの縁が、


ぼくの頭の中をぐるぐると回り続け、


いろいろと考えていた。




出産、赤ちゃん、子ども。




そう。


ぼくがいまだに黒森庵を休止しているのは、


まさに若い女性・子どもたちが


お客さまとしてご来店された時を考えてのことだ。




数日前、


「放射能なんか気にしないから、おいしいそばが食べたい」


というメモ書きが黒森庵の前に張ってあった。




お気持ちは分からないではありません。




ある一定以上の年齢だったら放射能の影響は少ないという話しがあることは知っている。


でも、それは4〜50代からそれ以上の年代の話しであって、


若い方々にそれはあてはまらない。




しかも、今回の福島の原発事故のような


広範囲にわたる低線量被曝被害というのは、


いままでだれも経験したことがないとすれば(チェルノブイリを超えたともいわれています)、


慎重にならざるを得ない。




ぼくはここで気持ちをゆるめるつもりはない。


2011年3月22日のぼくのブログ以後、ぼくの思いにまったく変化はない。





自分の家の食材でさえ


毎日、吟味に吟味を重ね、


できるだけ東京以西・外国産のもの、などと苦労して


「安全そうな食材で」


献立を考えている。




店でお客さまにお出しするとなれば、


より一層の吟味が必要なのだと、ぼくは考える。





たとえば食材は、いまだに後出しじゃんけん状態。



グリーンピースの独自調査では、大手スーパーの商品からの汚染値が報告されている


福島のコメ500ベクレル超は38戸 県の緊急調査結果 2月4日 福島民友 


汚染未検査の牛3000頭 流通後の追跡困難 2月4日 東京新聞




狂牛病の時、鶏インフルエンザのとき、


あれほど神経質になり、


全頭(全羽)処分したあれはいったい、なんだったのか。


他県からの流入禁止、流出禁止などをしたではないか。




さらに、後出しではなく、堂々と流通させている例もある。



240Bq/kgの大豆は、出荷されている



国が定めた暫定基準値以下で、安全性が確認されたので出荷、と明記されている。


では、


暫定基準値というもの自体の見直しも行われている中


500Bq/kg以下を「安全」と受けとめていてよいのだろうか。




国・自治体は、こうなる前に、


市場に出る前に徹底的に測定し、指導を行うべきだった。




しかし実際にはそうではなかった。




「安全です」


「安心です」


「食べて応援しましょう」




この言葉に安心して、


汚染された食物を口にした人々はいなかったのか。




学校給食にしても、子どもたちを預かっている立場として、


きちんと測定をしている学校はどのくらいあるのだろう。


各学校は、ちゃんと安全な食材だという証明はできているのだろうか。




保育園はどうなのだろうか。




「たぶん、だいじょうぶだろう」


ということなのだろうか。




11ヶ月経った今でも、まだ、


放射能対策は手さぐり状態といっていいのではないだろうか。





さらにいえば、


国がちゃんとやってくれないから、


学校にいくら頼んでもだめなのだから、


大手スーパーもすべての検査はしないのだから(イオンの姿勢は評価しています)、




「仕方がないよね」



といって、


日々、食べていて大丈夫なのだろうか?




日々、お客さまに提供してよいのだろうか?





09decJG-1.jpg
じっさいに、日本の国土にこれだけの汚染があったのだ。(早川由起夫さんより)




詳細な図は、こちらにあります。(nnistarさんより。HTMLです、ちょっと重いです)





そして高濃度汚染水は、




asr.jpg
海へ流出した。





もしぼくが飲食業でなかったら、ここまで神経質にならならなかったかとも思う。


家の食事の心配だけですむ。




しかし、飲食業はお客さまの一日のうちの一食分を受け持つわけだから、


ここをきっちりとしないと、


あとできっと後悔するとぼくは思っている。





黒森庵にはしばしば幼稚園くらいの子どもさんが来てくれる。


そしてぺろりともりそば一枚食べてくれたりする。


それはとてもうれしいことだ。




あるいは妊娠中・授乳中のお母さんもいらっしゃる。


お母さんが食べるものが、おなかの中の赤ちゃんを育て、


お乳となって赤ちゃんの食事になる。




幸い、一昨日・昨日の測定で、


ぼくが使う蕎麦は汚染がないことがわかった。




さらにいえば、


ぼくは休業していた分、3.11前の玄蕎麦の備蓄もある。


低温倉庫に脱酸素材でパックしてあるから、


今でも新鮮だし、エージングが進んで、


新蕎麦とはまた一味ちがった風味を楽しめるかと思う。




鰹節は、ぼくがお付き合いしている節屋さんは


まだ3.11前の材料を使用している。




昆布は3.11前のものの備蓄がまだしばらくはある。




もりそばだけであれば、


今すぐにでも完全に安全なものがご提供できるが、


その他のものは、そうはいかない。




当初は自分で測定機を購入し、計測しようと考えていたが、


それにはかなりの知識・技術・経験が必要ということが分かってきた。


付け焼き刃では、かえって問題がおきる。




幸いなことに、こどもみらい測定所という、


たいへん信頼のおける施設とのご縁が生まれたことから、


測定はそちらにお願いしようと思いはじめている。




なので、今少しお時間をいただいて、


すべての食材を測定し、


周囲の状況などを総合した上で、


黒森庵のこれからを明らかにさせていただきたいと思います。





最後に、こういう話しもあった。



沖縄の窯焼きのPIZZA屋さんが使用した岐阜県の業者の薪が福島県産で、


未使用の薪からは国の指標値40ベクレル(/kg)の約11倍にあたる


468ベクレルの放射性セシウムが検出されたという。


別の店では、使用後の灰から指標値8000ベクレルの約5倍の


3万9960ベクレルが検出されたという(2012/02/08 沖縄タイムス掲載記事より)。



場所は、沖縄。



いくら気を付けていても、こういうことが起きる。


これからも、いや、これからはもっと


「想定外」


の出来事が起きる可能性があることを、


ぼくはしっかりとこころの中心に置きながら生きてゆこうと思う。





Caccini ( Vavilov ) Ave Maria by Slava Kagan-Paley





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