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宝塚で食べた、焼肉の味。



父は一年のうち、


数ヶ月は舞台(芝居)・地方ロケの仕事をしてたと思う。




ひとたび地方での舞台の仕事が入ると


一ヶ月くらい公演が続くから、


その間、我が家は母子家庭になる。




ぼくは一人っ子だが、


模型作りが大好きだったから別に淋しいということはなかったが、


それでも母は(子どもに淋しい思いをさせないようにとの配慮だろう)、


時々ぼくを連れ、父が公演をやっている舞台を観に行ったり、


ロケーション地に陣中見舞いに行った。



小学生のぼくは、別に父の芝居・演技に興味はなかったが(ごめん)、


その日の夕食は楽しみだった。



って、また食べ物の話しだ。



50年前の、ね。





ところは兵庫県宝塚市。


そこに父が定宿にしている旅館があった。



なんという旅館だったか、名前を覚えていないが、


小学生のぼくでもわかるくらい、


静かで、落ちついていて、


たいへん居心地が良かった。




夕食の時間が近づいていたが、


どこかに出かけてゆく気配がない。




「とうさん、今日は?」


と訊くと、


「あ、今日はね、ここで食べようと思って」


という。




気持ちのよい旅館ではあったけど、


ぼくはあまり旅館の料理は好きじゃなかった。




たくさんの料理が出てきて、


一見、楽しそうだしおいしそうだけど、


じつはそのどれもがみな、まぁまぁ程度の味だったり、


子どもにとっていちばん大事な最後のデザートがいいかげんだったりして、


あまりうれしいものじゃなかったからだ。




だから、ちょっとがっかりした。



それを横目で見ていた父は、


「だいじょうぶ、ここのご飯はおいしいよ」


といってくれたので、期待した。




時間になり、中居さんが、


「お食事のご用意をしますね」


といって、ガスコンロを持ってきた。




「ああ、鍋か」


と、ちょっとがっかりした。


ぼくは自分の家で食べる鍋は好きだが、


外で食べる鍋は好きではない。




たとえば、しゃぶしゃぶ。


ぼくは霜降りの肉は、苦手。


赤身が好き。




できれば、牛より、豚。


大根おろしは山盛りでほしい。


薬味もたくさん。


柑橘系もたくさん。



ようするに、勝手気ままに、好きなように食べたい。



だから、鍋だと勝手に想像したぼくは、ふたたび意気消沈した。



ところが、ちょっと様子が違う。


コンロをセットし、


次に持ってきたのは、ジンギスカン鍋。




ものすごく、がっかりした。



以前、一度北海道で食べたことがあり、


その肉のもうれつな動物臭に閉口した記憶があるからだ。



どきどきして中居さんの動きを見ていると、


そこへ別の中居さんが来て、


手に持っていたのはやはり・・・、


ん?


ちがう。


ジンギスカンではない、これは牛肉だ。


しかも、霜だらけでない、赤身。



俄然、元気が出てきた。



その他は、キャベツのザク切り、


それに大根おろし。


それのみ。


いや、それのみだったか、


今や忘却の彼方だが、


たぶん、それのみだったと思う。




その焼肉は、たまらなくおいしかった。



ジンギスカン鍋を熱し、


サラダ油を敷き、


ただ焼くだけ。



肉への味付けは一切なし。



それを山盛りの大根おろしで食べる。


醤油のみ。



どれだけ食べたか覚えていないが、


肉のお代わりを何回かしていたと思う。



箸休めというか、


その他にはキャベツのザク切りをいっしょに焼き、


それも大根おろしでいただく。



たったそれだけの料理だったが、


小学生のぼくはおなかが出て前屈みができないほどまで食べた。




それを、再現してみた。



OGビーフを.jpg
OGビーフを、買ってね。



こうしてね.jpg
こうして、ね。



焼く!.jpg
焼く!



焼く、焼く!.jpg
焼く! 焼く!



大根おろしで、いただく!.jpg
大根おろしで、いただく!



あいにく、安全そうなキャベツが見つからなかったので、


>小松菜の胡麻汚し.jpg
京都の小松菜の、胡麻和え。


水菜のおひたし.jpg
どこだったか、やっぱり西の産地の水菜のおひたし。



ああ、うっとり。



ほぼ、完璧でした。



キャベツがあると、ほんと、昇天状態だったろう。




OGビーフは、いまとても安いし、


USビーフよりもおいしい気がする。



ちょ〜、簡単。



お試しください。




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