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成城学園と、NEBAの味。(ネバ、と読みます) [我が家めし]



その昔。



成城学園前駅北口に、NEBAという洋食屋があった。



洋食屋というにはメニューは少なかったが、

ハンバーグステーキ、

クリームコロッケ、

ポーク・ソテー(ピカタ? 加齢中)、

などがあったから、やはり洋食屋のジャンルだっただろう。




だった、と書いたが、

そうです、もうずいぶん前に閉店している。



今日は、その店の話しです。




家族経営で、

おとうさん、おかあさん、というようなマスター、マダムが迎えてくれ、

そこの息子さんはラグビー部で(ご店主のお父さまもラガーだったのかな)、

店の中は、ラグビーの写真、ペナントなどが所狭しと張られていた。



だからいつでも成城の学生や、ラグビー関係の人間がわいわい騒いでいた。

(息子さんはたしかサントリーに入社し、そこでもラグビーをやっておられたかと思う)




そして学生たち(ぼくもそうです)のお目当ては、

ハンバーグでも、コロッケでもなく、

「風味焼き定食」。



ロースかヒレかというチョイス、

肉の量、ご飯の量をどうするかというチョイス(Aセット、Bセットとか言ってたような)、

それからたしか、味の辛さを選べるチョイスがあったかと思う。



なにが風味焼きなのか、

なんでそういう名前になったのかよくわからないが、

簡単にいえば豚の薄切りの肉を、

醤油、酒、一味唐辛子、にんにくなどのタレに漬けて

小麦粉(たぶん)をまぶしてフライパンで焼き、

細切りのキャベツの上にのせて出来上がりという、

それほどひねってはいない料理だったと思う。



ぼくは一度だけ、

コックさんが作っているのを目の前で見たが、

凝ったことはなにもしていなかったと記憶している。



味付けは濃く、使う油の量も多く、

味の濃さを、ごはんの量で調整するか、

敷いてあるキャベツも動員して調整する、

一口食べるとご飯は二口三口、

そんなまさに学生向けの料理だったかと思うが、

どうにも癖になる味で、

食べた翌日にはまた食べたくなるような、ふしぎな味だった。



最近は荻窪辺りに

「NEBAの女将から秘伝を教わった」

として

「風味焼き専門店」

があるらしいが、ぼくはまだ未訪。

行った友人に訊くと、

「おいしいけど、あれは、当時の風味焼きとは違う」

という。


一度行ってみたい。




たまたまこんな肉を見つけた。

tokyo x.jpg
tokyo x 20%引き.jpg
tokyo xご案内.jpg
東京X(エックス)。



なんだかブランドを構築して、高めの価格設定で販売、

そんなニオイもしてこないではないが、

新しいブランドだし、

3.11以後、へんな飼料は使わないだろうという希望を胸に、

一度試してみることにした。




我が家の「風味焼き風」はたいていぼくが作るので、

今日は視点を変えて、

「ぼくの風味焼きの記憶の話し、そして記憶で何度か作った味を元に」

三女がメイン、そして長女がサポートという布陣でトライ。



三女特製タレ.jpg
「三女秘伝」のタレに漬け、


小麦粉?片栗粉?.jpg
粉の衣を付けて、焼くだけ。



キャベツが東京以北のものしかなかったため、

今日は香川産のレタス。




こうなった.jpg
できた!(色は、ちょっと濃いかな)


糠漬け新香.jpg
糠漬け新香、


豆腐とネギの味噌汁.jpg
豆腐とネギの味噌汁、


「定食」感を出すために、ね。




いただきま〜す、わくわく。



あ!


え?


おいしい!


似てる!



いくらぼくが作っても、ここまで似なかったんだけどなぁ。


きーくやしい。




これ、かなり近い。

だって、一口食べただけで当時にフィードバックしたから。

味が濃いのもそっくり。

油っこいのもそっくり。



三女と長女ペア、見事なり。



そんなわけで、35年(くらい?)前のNEBAの味が、


我が家に舞い降りてきました。




おじさんはずいぶん前に天国に行かれたけど、


おばさんは元気でいらっしゃるのだろうか、


おいしい発明を、ありがとう。




至福。




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