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ガンディーさんと、パパネックさん。 [小黒森庵]


小黒森庵というのは

なんで始めたかというと

人間が生きる最小スペースを

具現化してみたかったからだ。



「起きて半畳、寝て一畳」

と言う言葉はぼくの人生で

いつでも

通奏低音のように響いていた。



今回それは

なんとか具現化できたと思う。



ん十年前に遡れば

玄米菜食・自然農を4年間やってみて

やろうと思えば

自給自足は可能だろうという

手応えを持った。



今は家族みんな

おいしい料理を作ることはできるから

これから農を始めれば

そこもクリアできるだろう。



そしたら

去年の大晦日に

須藤玲子さんがお見えになったことで

「布」にフォーカスし出す自分がいた。



そう。



衣・食・住の

衣の原点を

ぼくはまだ見ていなかった。



というか

ぼくはたぶん

一生分の衣類というものを

すでに持っている。


だんだんと汚れてゆくだろうし

穴もあくだろうけど

それでもたぶん

大事に着ていれば

一生分の衣類は、ある。



でも、それは根本ではない。



たまたまそういう家庭にいただけの話であって

自分で「衣」を作ったのではない。



そこに気付かせてくれたのが

須藤玲子さんだった。



布。



インド独立の父、ガンディーさんが


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常に糸を紡いでいたというのは

たくさんの人が知っているだろう。



独立当時の国旗の中心には


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糸車が。



その彼が発明したと言われるのが

「ボックス・チャルカ」

という折り畳み携帯式の糸紡ぎ器だ。



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それが今、我が家にある。


須藤さんが

三女子リスにプレゼントしてくださったのだ。



外観はどう見ても


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質素そのもの。


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ささくれもあり、下手すれば棘が刺さる。



ぼくは糸紡ぎはまだやっていないけど

でも

各部のメンテナンスをしてみて

基本的なところは

恐ろしく完成度の高いものだ

ということが理解できた。



それはヴィクター・パパネックさんの


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「生きのびるためのデザイン」
(原題:Design For The Real World)

を思い出させるものだった。


パパネックさんに関しては

9年ほど前にもブログで記した



どこでも手に入るものたちで構成され

特殊なものに頼らず

図面せあれば誰でも作れるような

それが

マハトマ・ガンディーさんが創出した

ボックス・チャルカだった。



それが我が家にやって来て以来


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三女子リスは磨き倒し

66年のぼくの「知恵」を使って

要所をメンテナンスし

ある部分は新しい素材に変えてみたりした。



それをすれば確かに

「ちょっとスムーズになるかな」

程度までには

性能が僅かにアップする感覚は、ある。


でも、劇的に良くなるわけではなかった。



たとえば、


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ウレタンベルトを使えば

糸の結び目がなく、スムーズに動く。



でもその一方で

手に伝わるダイレクトな感覚は遠ざかる。



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オリジナルは、紐。

たしかに「つなぎ目」の部分は

ガクンというショックがあって

お世辞にもスムーズとは言えないけど

慣れれば使いこなせるし

よりダイレクトな感覚を持って

糸紡ぎに集中できる。



軸受けには一切のベアリングは存在しない。

だからたぶん

ベアリングを使えばよりスムーズにはなるだろう。


でも、その必要がない程度には

調整次第ではスムーズに可動する。


タクワと呼ばれる

ボックス・チャルカでは重要な部品は

なんと回転部分の軸受けは、やはり


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紐、なのだ。


いつかは磨耗して切れるだろうけど

それまでは役目を果たしてくれるし

切れたら次の紐を自分で縒って作ればよい。


ベアリングだと、そうはゆかない。



構成部品のそのほとんどは廃材だと思う。



そういう生い立ちのボックス・チャルカ。



それで衣食住の最初の「衣」の

布を作るための素材を

自分一人で紡ぐことができるのだ。



ボックス・チャルカが我が家に来てから

ほぼ毎日眺め触り調整してみて

どんどんと

自分の常識というものが崩壊し

新たな感覚が芽生えるのを感じる。



そしてまた

ぼくの生き方である

「こんくらい=てきとうな=ちょうどよい」

を咀嚼し直しているところでもある。



我田引水に聞こえるかもしれないけど

小黒森庵もほぼすべてのパーツは

どこでも入手できるものでこしらえた。



さて、布、衣。



三匹目の子リスも


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糸紡ぎに参加したし

面白いことになってきたなぁ。



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