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タラコと、シャケと、UFO。 [超夢]



古民家風猪股邸を離れ

どうやらぼくは先遣隊として

二次会の会場に居る。





こちらは完全に料亭

しかもかなりの大きさだ。



モダンとクラシックが融合したような

美しい照明で照らされた室内に

あと数時間後には始まる大宴会を前にして

ピリピリとした空気が流れている。



白衣を纏った料理人さん

きちんと和服を着こなした中居さんたちが

てきぱきとそれぞれの仕事をこなしていた。



ぼくは案内された

大きな白木の無垢天板の丸テーブルに腰かけて

彼らの動きを眺めている。



「白木の無垢の丸テーブル」

というのは

寿司屋のカウンターが

そのまま直径2mくらいの丸テーブルになった

と想像してみてください。


中華料理屋の個室などにあるような

8〜10人くらいで囲む円卓

あれが白木でできている、そんなかんじ。


どうしてそうなっているかというと

大人数のパーティーでも

各々のテーブルで

カウンターの気持ちで寿司を食べられるように

という配慮だと聞いた(夢です)。



とその時、中居さんが

「まず、こちらです」

と、ぼくの前へ出された

黒い横長の皿に盛られた料理を見ると

なんと焼きタラコだった。



タラコ?



でもそれは

生まれて一度も見たことのない大きさで

粒は大きく、プリプリで

外は焦げ目が付きながら

中は半生という

申し分のない焼き加減。


それが三腹。


脇にはおろしたての本山葵が

たっぷりと盛られていた。



味見をしようというその時

誰かが声にならない声を上げ

「あ、あれ!」

と、叫ぶのではないが

必死に伝えるのが耳に入った。



いよいよか?



あわててカメラを探す・・・

いけね、まだ車の中だった

コインパーキングまで戻らなくちゃ・・・

とりあえずスマホで・・・

いけね、猪股邸に忘れてきちゃった。



仕方ない、目に焼き付けるか。



脱兎の勢いで席を立ったその時

まだ味見もしていない焼きタラコを

肘で床に落としてしまった。



不幸にもタラコが下で

皿は見事にタラコの上に乗っかっていた。



通りかかった中居さんに伝えると

心底驚いた様子で

ドギマギするのが手に取るように分かった。



きっと超入手困難なタラコだったのだろう

それが三腹

見事に墜落したのだ

すまない。



すまないけれども

ぼくはこの日を待ち望んでいたので

今を逃すことが出来ない。



自らテーブルの下に潜り

熱々のタラコを手で拾い

皿に乗せて中居さんに手渡す。



ああ、なんて良い香りなんだ

タラコも、山葵も。



料理長さんには心から謝っていたことを

伝えてくださいと言い残し

今度こそ屋外に出る。



広場にはすでに

おおぜいの人、報道陣が集まっていた。



夕暮れが始まった南の空に

突如

巨大なUFOが現れた。



これだ。



ぼくはこれを待っていたんだ。



群衆はあまりの大きさに

大声で驚く人はいない

むしろ無言の人が殆どだ。



そりゃそうかもしれない。



大きさの比較で言えば

ぼくらの旅客機を蚊だとすると

このUFOはカラス・・・

いやもっと大きい

丹頂鶴くらいある。



どうやって製造するのか

そういったことが

まったく想像できない大きさだ。



カメラを持っていても

撮ることを忘れ

呆然と立ち尽くしている人々多数。



報道のテレビカメラマンも

ファインダーから目を離し

裸眼で眺めている。



すると、またもや声にならない声が

ざわつき出すのが聞こえてきた。



来た。



猛烈な巨大さだ。



超巨大な母船(?)とおぼしきUFOが

美しい夕焼けをバックに現れ

やがてその巨体は

ほとんどの夕焼けを覆い尽くした。



例えようがないのだが

飛行機とUFOは

蚊と富士山くらいの大きさの違いか。



いやいや、そうじゃない

なにしろこのUFOは

視野に収まるレベルじゃない。


北海道とは言わないが

四国くらいはあるんじゃないか。



そう、この日が

UFOとの接近遭遇の日と決まって以来

ぼくは、この時を待ち望んでいた。



小さく、何度も、拳を握り

ガッツを繰り返した。



それにしても

カメラを忘れてきたって、いったい。



まだ間に合うかもしれないし

どっちみち一旦また

料亭にも戻らなきゃならないし。



コインパーキングまで走りに走って

料亭に戻り

再び同じ席に座る。



こちらはこちらで

どんどん予定の時刻が近付き

料亭内のテンション張りまくり状態。



その時、二皿目がぼくの前に。



焼き鮭?   


で、また、山葵?   



しかしこの鮭も

先のタラコに勝るとも劣らない

見たことない立派な大きさの紅鮭だ。



一口食べようとすると

今度は料亭全体が揺らぐような

「お"〜!」という声。



また来たのか!?



今度こそカメラで



むんずと掴んで席を立つと

ストラップが引っかかって

またもや皿を床に落としてしまう。



すかさず花板さんとおぼしき人が現れ

さすがに二度はまずいですよ

落ちたものは仕方ないですけど

と苦言を呈される。



もちろん、はい、分かります

ごめんなさい、といって

床に這いつくばって

バラバラになった焼き鮭を拾おうとする。



テーブル下からの目線で玄関を見ると

もう気の早いお客さん第一陣は

お店に入り始めてきたようだ。



まずいなぁ。



鮭を拾ってる姿は美しくない。



その時、板前さん数人が駆け足で

ロールの晒を持ってきて

手際よくぼくの周囲を囲ってくれた。



ありがたい・・・って

なんでこんな幅広の

晒のロールが常備されてるんだ。



板前さんの一人が目配せで

「ここは任せて、あなたは行きなさい♪」

と伝えてくれたので

花板さんには再度丁寧に謝り

広場へ向かう。



ものすごい光景だった。



UFOたちの乱舞だ。



陽が落ち始めているので

彼らの動きを放つ光がさらに美しい。



カメラを構えたが、撮る気が失せた。



あまりの巨大さなので

部分しか写らない。



何を撮ってるのかが、わからない。



しっかりと、目に焼き付けた。



やがて

一機また一機と

夕暮れと共に消えていった。



そうだった

二次会の食事は

猪股さんリクエストの

「黒い森出汁茶漬け」だった。



戻らなくちゃ・・・



戻って

今度こそ味見をしなくちゃ。




目が覚めた。



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