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てぇへんだ。



はて。


これは夢か、幻か。






「てぇへんだ、てぇへんだ、ご隠居!」


「なんだね、はるさんや、騒々しいね」


「うちの子リスたちが

蕎麦を打っちまった!」


「そらぁ、何年も休業中とはいえ

あんたは蕎麦屋の主人だ、なぁ

蕎麦屋の子どもが蕎麦を打つのは

なにも不思議はなかろう」


「それが不思議なんでさぁ」


「はて、なんでじゃ?」


「おらぁ、なんにも蕎麦打ち教えてねぇもんで」


「そらぁ、おまえさん

『門前の小僧習わぬ経を読む』

といってな、教ぇなんでも

お前さんの背中を見て覚えたんじゃよ」


「それが、ちがうんでさ

下の子は当時小学生で

あっしが蕎麦を打ってる時は

やつは学校行ってやして。

で、上の子は

店の仕事してたんですがね

仕込みやってて

蕎麦打ち見てない、ときた」


「ふむ。そうはいっても

お前さんのところには

立派な蕎麦打ち道具一式あるだろう

お前さんの見てないところで

みようみまねで練習したに違いない」


「それもちがうんす。

あっしの道具は一切使ってないんすよ

ま、あっしが作った器具は使いやしたが」


「ほぅ、それはどんな器具なのだね」




「キタッラと言いやしてね

なんでもイタリア人が

パスタとかいう麺を作る時に

使うやつらしいんすが

それをあっしが試しに作ってみやして

それを引っ張り出して蕎麦を打ったんす」


「そのキタ・・なんとかいう

それで、打てたのかい?」


「打てたもなにも

打てちまったから

こうしてご隠居のところへ

話しに来てるんじゃありやせんか」


「そ、それもそうだな」


「しかも石臼で製粉もしちまって

そんでもって

十割で打っちまいやがった」


「二八蕎麦は江戸の昔からよく聞くが

十割てぇのは、なかなか難しいと聞く」


「そうなんでさ

しかもかなりの粗挽きでして」


「粗挽きてぇのはもっと難しいのかい?」


「難しいなんてもんじゃございやせん

しかも細く長くなんてぇと

素人が打てる代物じゃござんせん」


「ほぅ、それをお前さんの子どもたちが」


「打っちまった、てわけっす、く〜(泣)」


「をいをい、泣くのはおよしよ、はるさん」


「へい、すいやせん」」



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「ほぅ、それじゃひとつ

ご馳走になりに行こうじゃないか」



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「なるほどこれは、立派なもりそばじゃ。

ここまで細くて、皆よく繋がっとる。

今まで職人さんが苦労してた十割蕎麦を

なにも知らぬ素人が打てるというのは

これは、たいへんなことじゃ。

その西だか東だか知らぬが・・・」


「ご隠居、キタッラっす」


「そのキタなんとかいう・・・

覚えにくいわ発音しにくいわで

なんとかならんもんかのぅ・・・

形だってギターとは似ても似つかん・・・

三味線でもないし、のぅ・・・

むしろ・・・琴・・・

そうじゃ、琴で打つ蕎麦・・・

琴のもりそば・・・

『ことのもり』というのはどうじゃ?」


「いいっすね、ご隠居、それでいきやしょ!」




目が覚めた・・・ていうか

半分現実、半分超夢のお話でございましてな

もりそばを手繰ったあと


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温泉卵で、あつもりと


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芋煮そば・・・

食べたような気がするんだが・・・

お後がよろしいようで。




細く、長く

おいしく、たのしく

生きてぇもんですな。


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