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黒い森と黒森庵 [黒森庵]



黒森庵という名前は、
ドイツのシュバルツバルト「黒い森」からきている。

また自転車のフレーム素材クロムモリブデン鋼( chromium molybdenum steel)
通称「クロモリ」からきてもいる。

どうしてシュバルツバルト?

どうしてクロモリ?



ずいぶん前のニュースで(調べたら1980年頃です)、
シュバルツバルトが枯れだしているという話しを聞いた。

それがぼくにとって大変ショックだった。

あの、ドイツの?
あの、広大な森が?

765px-Silberwald.jpg
(ArtMechanic氏所有http://commons.wikimedia.org/wiki/User:ArtMechanic)


原因は、酸性雨によるものだ。

急激な産業の工業化によって、
工場、自動車などからの排気ガスが大気中に広がり、
それが雨に混ざって降ってくるもので、
酸性度が強く、植物などを枯らす原因となる。


工業デザイナーだったぼくにとって、
自分がデザインしたものが世の中に出れば出るだけ、
それが酸性雨として戻ってくるとしたら、
こんなつらいことはなかった。
どうしたらよいのだ。


シュバルツバルトとはどういうところなのか。


「この黒い森の名前の由来は、見かけが黒いからではなく、当時の人々がほとんど人も住んでいない未踏の森林に恐怖を抱いたため“暗黒の”という意味で使われていたことから来ている。森林が破壊される以前は、ブナ・ナラの落葉樹林がたくさんあり、秋には紅葉していた。しかし、中世の時代には燃料用に多くの木々が切られてしまった。現在の黒い森の大半は、19世紀以降に植林された人工林なのである」
(京都産業大学文化学部 国際文化学科 浅野碧様のホームページからhttp://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~konokatu/asano(06-1-29)


元々は広葉樹林帯だったのだ。

森林は、「もののけ姫」ではないが、
本来は奥底にもののけが宿り、畏怖され、
手をつけないものだった。

そのためそこは常に自然が自然であり、
そこに住むものの楽園があり、
空から落ちる雨は自然の浄水機にかけられ、
すべての生き物たちに分配された。


そうした、いったんは消えていった自然を、
植林で呼び戻さねばならなかったということも
それだけで凄まじいことだが、
呼び戻したということも、凄まじい。


そして復活を果たした、人々の心のよりどころのような森が、
再度、「酸性雨」という別の要素によって破壊が進んだということは、
ドイツの人々にとっては計り知れないダメージがあったと思う。


以後、ドイツは積極的に環境問題に取り組んでゆく。

ヨーロッパにおいて、さまざまな工業製品、
とくに自動車部品のリサイクル化を強力に押し進めたのは、
たしかドイツだったと記憶する。
(ダイムラー・ベンツ、ポルシェの本社工場は
シュバルツバルトのあるバーデンヴュルテンベルク州にある)

文明の進歩には、かならずエネルギーの調達がかかせない。

文明が進歩すればするほどエネルギー消費も進み、
そして人間は空気を、自然を、汚染し続け、
最後には自分で自分の首を絞めるところまで突き進む・・・


ぼくは自動車が大好きだった。

でも、このような産業構造が続く限り、
第二のシュバルツバルト問題が出現すると思った。

その後、工業デザイナーをやめ、
自然農法を勉強し、
そば打ちと製粉を学び、
できるだけ自動車も使わない生き方に、
徐々にシフトしてきた。

移動には自転車。
そしてフレーム素材はクロモリ。

クロモリは、コストがアルミ、カーボンなどよりも安価で、
自転車の製造が簡単、
乗り心地は大変良く、
メンテナンスさえきちんとすれば
孫子の代まで使えるからだ。


さて、話しを終わろう。

人と、森との共存、ではなく、
人は、森がないと生きてゆけないのだ。



・・・人は、もりそばがないと生きてゆけない・・・

・・・できれば、自転車くらいは乗りたいな・・・


ま、こんくらいなかんじで、黒森庵、と名付けたのでした。