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59年前?



つい先日のこと。



ポストに英語の手書きの封筒が入っていた。


切手も貼っておらず

なんとなく不審に思いつつも

書かれた文字を読んでみると

それは住所ではなくて、文章だった。


最初に "Haru-chan" と、

そして最後に

"Yutaka" と書かれていた。


ユタカ? あの?


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(プライベートな部分は消してあります、ご了承ください)


Carlos Y. Del Rosario。

日本名は横倉裕。

ロスを拠点に活躍するミュージシャン。



彼とは幼稚園の同級生で

お互いの家も

歩いて2〜3分のところにあって

「ゆ〜たかちゃん、あ〜そぼ!」

と彼の家に行き

「は〜るちゃん、あ〜そぼ!」

と彼がうちに遊びに来る、そんな仲だった。



彼はやがて学生時代に自分のバンドを結成し

LPアルバムを作るも

日本での活動より海外を望み渡米し、

セルジオ・メンデス、デイブ・グルーシンなどに認められ

自身のアルバムを何枚もリリースする。



その彼からの封筒だった。



ていうことは、我が家まで来て不在と思い

自分の封筒の表に手紙を書いてくれたのだ。


そうか、今、彼は日本にいるんだ。



さっそく連絡を取りたいと思ったが

ぼくは彼のスマホの番号を知らない。

メールアドレスも知らない。



さて、どうしたものか。



その翌日だったか、翌々日だったか。



PCの電源を入れて

たまたまFB(フェイスブック)を見始めた

まさにそのタイミングでDMが入り

「今カルロスが店に来た」

という。

「今、目の前にいるから。

私に電話ちょうだい、そしたらカルロスに渡すから」

とも。


そう、そのFB友はAoiちゃんといい、

カルロスが日本で初めて

「NOVO」というバンドを結成した時

リードヴォーカルを担当していた。


その後も彼女は歌手を続けながら

現在は成城で「F*GICCO」という

レストラン/ライブハウスも経営していて、

時折「カルロス」も顔を出していたのを知っている。



なんというタイミング。

その場で電話をし、彼女のおかげで

ついに彼と話しができた。



会いたいと思ったが、

ぼくはその日は吉祥寺に先約があって

すぐには行けない。


すぐに終わるか長引くか

ちょっと微妙な用事だったので

もう一度連絡すると伝えた。


やはりすぐには終わらず、

でもAoiちゃんからはメールが入っていて、

彼女自身がこれから外出をするので

日曜日に会おうということになった。



その翌日のこと。

ぼくら家族は晩ご飯を

久我山でカレーを食べていた。



するとぼくのスマホの電話が鳴った。

カルロスからだった。


すぐにかけなおしたのだけど

国際電話の調子が悪かったのか

なかなか繋がらなかった。


もし連絡を取りたいのだったら

もう一度かけてくれるかなと思ったが

それはなかったが、代わりに留守電が。


そこには

「ぼくははるちゃん宛にEメイルを送ったので、

そこに返信してみてくれる?

それから、土曜日あたりはどうなってますか?」

というようなメッセージが録音されていた。



まてよ。

彼は最初の電話では

今実家に滞在していると言っていた。

ということは、久我山からほど近い。


カレーを食べ終え、その足で直行してみた。



懐かしい、彼の実家。



インターホンを押して、自分を名乗る。

すると玄関の扉が開き、カルロスが出てきた。



ついに、会えた。

ぎゅぎゅと、ハグをし合い

そらぁ、しばし立ち話だ、

どうしたって。


でもすでに夜の9時を回っていたので

ご近所のこともある。

話しはそこそこにし、再会を約束。



日曜日はAoiちゃんのお店で会えるが、

でもその前に、じゃ、もしよければ

我が家でいっしょに食事はどうか?

と問うと「YES!」。



炭水化物をできるだけ避けているという彼、

ん〜、なかなかメニューは厳しいが、

黒い森リス家族で知恵を搾り出し合う。



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黒森庵のメニュー、久々。


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三浦半島産、枝豆。


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鳥取産鮪。


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青森産手羽中の焼き鳥。


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イタリア産豚しゃぶ。


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カスタード・プディング。



食前・食中・食後も、話す、話す、話す。

なぜかつられてなんとなく、ぼくも

英語がしゃべれてるって、いったい。



彼の音感はとんでもないものがある。

たいていの音楽は、一度聴くと

すべての楽器を楽譜にかけるという。



ぼくは今、ウクレレを勉強していて

どうしても分からないコードが一つあって、

それをいっしょに探してもらう。



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バージョン 2.jpg
ん〜幸せ。



みんな彼のことを「カルロス」と呼ぶけど、

ぼくはやっぱり「ゆたかちゃん」だな。



そして日本へ「帰国」という言葉は

彼には合わない。


どうして?

日本語がまったく「不自由」なのだ。

ほとんどしゃべれないと言ってもいい。


それはたとえば

外国の人が日本語を習い始めた、

程度の日本語しか

彼の口からは出てこない。



バイリンガルだったり、

何ヶ国語も話せる友達はいるけど、

ここまで外国に同化しきった日本人は

ぼくは、彼しか知らない。



凄まじいほどの音感、感性。

そして、日本語を忘れるほどの決意。



子どものころの話し、

お互いの家族の話し(この世を卒業した人の話しとか)、

音楽の話し、政治の話し、精神世界の話し、

いろいろいろいろいろいろ

なにひとつ隔たりなく

尽きることなく話し合った。



あっという間の5時間半だった。

ここまで密度の濃い、

しかも幸せなひと時は

なかなかあるもんじゃ、ない。






変わるものもあれば、

何年経っても、


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変わらないものもある。





LOVE IS THERE -愛を育てる-




ゆたかちゃん、

心ゆたかに生きて

心ゆたかな曲で

この世を満たしてくれぃ!!




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