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「女将の快復と和田峠」 旧ブログより  [自転車]


女将の快復が極めてよい、と主治医から花マルをいただいたので、
今日のぼくは、ロードバイク(スポーツ自転車です)で半日走ることにした。

前から行きたい行きたい、と思っていて実現しなかった場所。

めざすは「和田峠」。


いつもの多摩サイ(多摩川サイクリングロード)から日野橋に出て国道256をひた走る。

いつのまにか国道20になり、追分町から陣場街道に。
ひたすらゆるやかに登り続ける。
いつまでたっても陣場街道、けっこう遠いんだなぁ。

するとやがて「陣場高原」の標識。

陣場街道.jpg

おお、やっと。

やや道路の傾斜が強くなるが、楽勝。

な〜んだ、和田峠って、ゆる〜いかんじ?
と鼻うたでも歌おう。

なにか拍子抜けしちゃったなぁ、ブログになんて書けばいいかなぁ。
「楽勝でした」
ってのも、なんかなぁ。

などと考えながら登って行くと、
こんな標識が。

PICT2259.jpg

いいじゃん。

「幅員狭し」ってのが雰囲気だな。

脚はしっかりフレッシュ。

おれってこんなに強かったっけ。
あらかんだぜ、おれ。
などとふたたび自分の強さを味わってみる。
ツール・ド・フランスの選手になりきってるな、おれ。

和田ツール.jpg



と。
確かに急に道幅が狭くなり,
なにやら目の前の坂の勾配もとたんに急に。

あわてて軽いギアに入れ直す。

「襟を正す」

というかんじか。

そのまま急な坂が続き,どんどん軽いギアがなくなってゆく。

おお、やっぱり来てよかった、和田峠。

などとまだどこかに余裕を見せていると、
ぐわ、とさらなる急坂が目前に。

あわてて一番軽いギアに入れる。

もう後がない。
なんだか一発ノックアウトってやつか。

いやいや、そんなおれじゃない、
と、しばらくそのまま黙々と登る。

静かだ。
緑がきれいだ。
森の香りがする。
鳥の鳴き声が聞こえる。
時折、冷たい風もそよと吹く。

ああ、和田峠。

和田ツール2.jpg



すると、さらに急坂に。

こらえて登ってみるが、あきらかに土俵際。

ああ、玉砕か。

も少し、がんばってみよう、
と最後のムチを入れる。

が、もはやそこまでだった。




玉砕。

玉砕中.jpg



ん〜、脚をついてしまった。
くやしいかぎりだ。

ついでだ、歩いてやれ。

くやしくも少し歩いていると、上から
「シャー」
という軽やかな聞きなれたホィール音が。

ああ、歩いている姿を目撃された、
もうだめだ(なにがだ)。

案の定,その音は二人のローディー(ロードバイク乗り)だった。

屈辱は一回でいい、
と思って再びバイクに乗る。

脚が少し戻っていたのか、
あるいは傾斜がゆるかったのか、
そんなことはどうでもいい。

ともかくペダルがこげるまでに復活した。
クルクルまわしていると、
しかしすぐにまたくたびれてきた。

もう玉砕したんだから、と
今度はためらわずに脚をつく。

ついでにまた歩く。

コツコツという自分のシューズの音がむなしくこだまする。
んーしずかだ、和田峠。

と少し歩いていたら今度は後ろから
「シュッ、シュッ、シュッ」
というふたたび聞きなれたホィール音。

下から一回も脚をついていないぞという雰囲気が充満している
若者が愛馬を駆って登ってきた音だ。

ああ、屈辱、再び。

三度はいやだと,バイクに跨がりよろよろと老人が歩くように走っていると、
道が平らになった。

右を見ると碑が立っていた。

和田峠てっぺん.jpg




最後があっけなかったな。

でもよれよれでもあったな。

登りがすごかったということは
とうぜん下りもすごかった。
ちゃんとブレーキを調整していない子は登っちゃダメだよ。

でもこんな景色が見られたからよかった。

和田パノラマ.jpg



いやぁ、玉砕だった。
鼻うたがいけなかった。

また挑戦する。

2010-06-24 21:11(旧ブログアップ日時と時間)