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父の、サイン。 [超夢]



見ない日はない、超夢。


でもこのところは

目が覚めた途端に「消去」され

書きたくても書けない状況が続いていた。



久しぶりに

克明に覚えていたので

備忘録として。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昭和の、阿佐ヶ谷あたりか。



五日市街道(?)のようだけど

舗装が今と比べるとだいぶ貧弱で

交通量もそんなにあるわけじゃない。



エンジンの音は

今に比べるとだいぶうるさく

排気ガスの匂いも強く

色自体も違う気がする。



隣町に住んでいるぼくらは

地元ではなく

「その町」に足を伸ばして

食材その他を買いに行くのが常だった。



そこは自動車オートバイはもちろん

自転車さえも通行がはばかられる

狭い狭い商店街があり

でも、安くて新鮮な食材

八百屋、魚屋、肉屋、牛乳屋

雑貨店、本屋、毛糸手芸屋

喫茶店、洋食屋、ラーメン屋など

魅力的な町並みが連なり

いくら居ても飽きないのだった。



一方、「町の顔」の大通りは

まだ商店街の様相を呈していないし

大通り、といっても

そんなに広いわけじゃなく

広く感じられるのは

まだその辺一帯が開発中で

周囲に空き地が多いからだった。



ある日、買い物に出かけると

いつもとどこか雰囲気が違う。



大通りには自動車は入れないように

通行禁止となっていて

お巡りさんとともに

若いお兄さんたちが口に警笛をくわえ

交通整理をしている。



「なにか、あるんですか?」


「あ、夏祭りなんです、でも、ねぇ
 ご覧の通り、そんなに人出ないんですよ。

 なんとかならないかなぁ、って
 思ってるんですけど」



たしかに。



通行止にした割に

大通りは閑散としている。



そのお兄さんが指をさし


「ご存知かもしれませんが
 あそこに町の案内所があるんですけど
 地味でしょう? あれ。

 せめて色塗って
 そうだな、緑とかに塗れば
 ちょっとは目立つんじゃないか
 なんて提案してるんですけど」



なんで緑なのかは聞きそびれたが

たしかに位置的には良い場所だし

目立つものがあれば

他の町から来た人たちに

いろいろ案内・紹介をする

きっかけにはなる。



ちょっと興味が湧いたので

その案内所へ立ち寄ってみることにした。



二階建ての木造モルタルと思しき建物は

道路に面した部分はほぼカラス張り。


いってみれば

昔の古民家の「縁側」のようになっていて

案内所に来た人は

そこに腰掛けて休むことができる。



中を覗くと、おじいさんが一人。



「すみませ〜ん」


と声をかけると


「は〜い、ちょっと待ってね・・・

 あ、上がります?
 上がって待っててくれる?」


と、のんびりとした空気が漂う。


「縁側」からも上がれるが

向かって左手には

一応入口らしいドアが付いていたので

そちらへ回り、上がらせていただく。



「すみませんねぇ
 ちょっと仕事片付けちゃうから
 その間、これでも見ててくださいな」


といって何冊かの写真アルバムを

ダンボールから出してきて

ぼくに差し出した。



一冊目は

辺り一面田畑だったこの町の

開発の歴史が分かるようなアルバムだった。



二冊目は

映画関係のアルバムだった。


おじいさん、映画がお好きなんだろう。



ポスター写真、サイン入りプロマイド・・・


え”? 


父の写真が、サイン入りで。


間違いない、父の筆跡だ。


そこからは、次々と

父の写真とか似顔絵とかが、続々と。


我が家にもないような

映画の一場面のスチル写真も。


しかも、この映画、知らないし。



びっくりしておじいさんを見るも

おじいさんは仕事中で

声をかけられる状態ではなかった。



そこで初めて部屋を観察してみると

そこここに父のポスターとか

父のサイン入りの手ぬぐいが飾られていた。



なんなんだ?



ただただあっけにとられていると

長女子リスと次女子リスが

買い物に来たらしく

偶然、案内所の前を通り過ぎようとしていた。



すぐにぼくは彼女らを呼び止め

案内所へ招き入れアルバムを見せた。


彼女らも開いた口がふさがらない。



やがて、おじいさん、到着。


「はい、お待たせしちゃったね
 なんの御用でしょう?

 あら、お嬢さんたちも?
 いらっしゃ〜い」



なんで父の写真とかがここに?

ぼくは息子なので、と

開口一番聞きたいところだが

初対面でさすがにそれは唐突だ。


「はい、ぼくは隣町に住んでるんですが
 買い物にはいつもこちらに来てまして」


「ふんふん、あの町ね、ま、たしかに
 うちの町の方が面白い店揃ってるもんね」


「そうなんです、来るだけでも楽しいし
 安くて新鮮な食材も買えるし」


「そうなんですよ、そうなの、それなの
 うちの町って、なかなか良いんです
 でもね、なかなかそれが外に通じなくて」


「そのようですね、今も来る時
 若い方と立ち話してたんですが
 案内所をもう少し目立たせたいと・・・」


「そうそう、そうなのよ、なんとか、ね
 目立ちゃいいってもんでもないけど
 橙色とか、黄色とかに塗っちゃうとか、さ」


あれ、緑じゃなかったっけ。



すっくと立ったおじいさん

あと、こんなのもあるんですよ

といってまた別のダンボールを持ってきた。



それにはぎっしりと

映画音楽、歌謡曲のレコードが詰まっていた。


ん〜、昭和だ。



「でもね、かけたくても
 器械がみんな壊れちゃって
 もう、買おうと思っても、ないし・・・」



その時、急に外がざわざわしてきた。


お昼休みで交通整理の人たちが

休憩で戻ってきたのだ。


そのうちの一人に、知り合いがいた。


彼女は私の父のことをよく知っている。


なんか、援軍みたいな感じがして

そこで初めて、父のことを尋ねてみた。


そのおじいさんは映画が大好きで

父のことが大好きだと語ってくれた。


ではなんで

我が家にもないような写真が
(つまり映画関係者しか持っていないような)

ここにあるんですか?

と尋ねると

ちょっと口ごもってから

それはね

あまり大きな声では言えないんだけど

ちょっとだけツテがあってね

その方から頂いたものなんです

と神妙な顔で語ってくれた。


なるほど、そういうことなんだ。



みなさんの休憩の邪魔をしてはと思い

我々は引き上げることに。



お茶をいただいたお礼を言い

靴を履いていると


「なんとかならないでしょうか、ねぇ
 やっぱり目立つ色に塗るのかなぁ」


と、年を押すように、一言呟かれる。



後ろ髪を引かれるように

外へ出て、もう一度外観を眺める。



立地、良い。


建物の雰囲気も、良い。



目立ちゃ良い

ってもんでもなかろう。


ペンキを塗ってなんとかするんじゃなく

なんか、こぅ・・・


なにかお手伝いできないものか。


喫茶付きの多目的ホールで

個展とか? 芸術発信?


いっそ、蕎麦屋をやらせてもらう?



・・・、目が覚めた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


目覚めた時、動悸が激しかった。



久しぶりに、父と対面した感覚があった。



だから、どう、ということではないけど

でも、なんか、この今回の超夢は

次に何か繋がるような

そんな予感が、した。



それは、いったい、なんなんだろう。



DSC_7227.jpg



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